【言語】トクピシン

トクピシン(Tok Pisin)はパプアニューギニアで話されている言語です。もともと19世紀にヨーロッパ人が南太平洋に来たとき、南太平洋の島々の住民と意思疎通ができず(島々の人たちもいろいろな言語を話していた)、そこで自然発生的に出来上がった共通語がトクピシンの元になりました。

言語学的にはこのような共通語をピジンと呼びます。ピジンは必要がなくなると消滅してしまうことが多いのですが、パプアニューギニアは700以上の言語が話されている多言語地域なので、トクピシンが根付くことになりました。

バヌアツ共和国のビスラマ、ソロモン諸島のソロモンピジンもトクピシンに非常に近く、少しずつ違っていますが意思疎通に問題はありません。トクピシンの単語は島民たちが聞き取った英語が大部分ですが、文法や表現方法は南太平洋的な特徴を持っています。そのため、英語の母語話者が聴いてもほとんど分かりません。少しずつ現地の言語やドイツ語の単語も混ざっています。

「私」はmi。英語のmeから来ています。「私たち」ならmipelaかyumiになります。Mipelaは話し相手を入れない「私たち」なのに比べ、yumiは話し相手を含む「私たち」。だからyouとmeなのです。英語にはこういう区別はありませんが、アジア(例えば中国語)から南太平洋にはこういう区別をする言語がたくさんあります。

英語なら三人称単数は性別によってhe、she、itと区別がありますが、トクピシンならem一本槍。em自体は英語のhimから来ていますが、男性に限らず使えます。「男性」は英語と同じでmanですが、「女性」はmeri。女性の名前であるMaryから来ています。

英語で「皆さん!」と呼びかけるとき、Ladies and gentlemen!と言いますが、トクピシンではOlgeta manmeri!になります。Olgetaは英語のaltogetherから来ていますが、トクピシンでは複数形の意味です。

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